亜 真里男『The situation is under control』発売開始

上の写真:表紙作品となる亜真里男《2012年8月17日、国会前「ATOMKRAFT? NEIN DANKE」(原子力?おことわり)》(部分、未完)

アートダイバー第5段となる書籍、亜 真里男(あ・まりお/Mario A)作品集『The situation is under control』が発売開始となりました。

同書には、亜真里男氏が2011年から2016年にかけて制作したペインティング・シリーズを収録しています。

大日本大震災が起こった2011年は、日本にとって大きな節目となりました。
「3・11」は、 日本に約30年間暮らし、和のフェティシズムやエロティシズムを探求してきた亜真里男氏の制作にも大きなインパクトを与え、以降、2016年まで亜真里男氏はエロティシズムを封印し、社会的言説を含んだ作品の制作にとりかかりました。

そのテーマは、反原発、津波と海岸線、クールジャパン、沖縄、オバマ大統領の来日、デモ参加、東京オリンピックと実に多彩です。「ポストモダン・プラクティスとして、基本的に説明はしない」との立場から詳細な作品解説は省き、読者の積極的な解釈を推奨していますが、重要な作品には、アーティスト・ステイトメントを収録し、その意図を述べています。

表紙には、本書を貫くテーマが端的にあらわれた、2016年9月の個展に向けて制作中の作品《2012年8月17日、国会前「ATOMKRAFT? NEIN DANKE」(原子力?おことわり)》を採用しました。
作品の中央には、国会議事堂前で行われたデモに参加した真里男氏の目に飛び込んできたある「旗」が描かれています。これは、欧米で70年代から80年代にかけて大流行した反原発のシンボルです。ほかのデモ参加者には、何のシンボルかはわかっていなかったといいますが、スイスに生まれドイツに育ち、86年のチェルノブイリ原子力発電所事故をリアルタイムで経験し、そしてフクシマを目の当たりにした真里男氏には、この光景を絵画として残すことに強い意味を感じたのです。

これからの日本を考えるうえで、ぜひ手に取っていただきたい作品集です。


【本書概要】
タイトル:『The situation is under control』

著:亜 真里男(あ・まりお/英語名:Mario A)
解説:市原研太郎
カラー/モノクロ、96ページ(カラー80/モノクロ16)
ハードカバー

本体:B5 変形(185×246mm)
デザイン:木村稔将

ISBN:978-4-908122-04-0
定価:本体2,700円+税

商品紹介ページはこちら
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